新入社員研修でアジャイル体験ワークショップを開催

今年の新入社員が職場体験でうちの課にもやってくるというので、アジャイル開発について話すことになりましたが、ただ講義をするだけではつまらないので、簡単なワークショップをやることにしました。 

概要

  • 参加者:9名
  • 時間:約3時間
  • 場所:会社の会議室
  • 用意するもの:付箋紙、A4用紙、ペン、マスキングテープ、カード(トランプ、プランニングポーカーなど)、ホワイトボード 

やったこと

自己紹介+4タイプ診断(アイスブレイク)

以下のサイトを参考に、性格診断をしてもらう。

next.rikunabi.com

進め方
  • 壁にマスキングテープを縦横に貼り、4象限を作る。
  • 参加者は、付箋紙に名前(ニックネーム)と今日学びたいことを書く。
  • 付箋紙を見せながら自己紹介する。
  • 直感で自分が何タイプかを選び、壁の4象限に付箋紙を貼る。
  • 次に、チェックリストで診断する。
学習のねらい
  • 見積もり(最初の直感)と実績(チェックリスト診断結果)の差異。
  • 付箋紙の正しい剥がし方。

正直に言うと、4タイプ診断はどうでも良くて、壁に付箋紙を貼ってもらい、付箋紙の正しい剥がし方ができているかを見たかっただけです。

 

そして、診断結果を元に、メンバーが偏らないようにチーム分け(各4〜5名)

 

コンセンサスゲーム

以下サイトを参考に、チームでの合意形成を体験。

グループワークで使えるNASAゲームのやり方

 

進め方
  • 問題文を見せて、最初は個人で考えてもらう(10分)
  • その後、チームで話し合ってもらう(15分)
  • 最後にNASAの模範解答と答え合わせ。
学習のねらい
  • 個人スコアとチームスコアの差異について考えてもらう。
  • 意見が違う場合にどうやって合意するか。

これは20年前、自分が新人の時に研修でやったもの。そのときは個人スコアよりもチームスコアが悪くなってしまい、「ちゃんと話し合いに参加してたか?相手に意見を聞いてもらえるような話し方ができていなかったのでは?」と講師にダメ出しされた記憶があります。。。

 

バッチサイズゲーム

進め方
  • PO(時間計測係)1名、残りは作業チーム
  • 作業チームの1人目は、10枚のカードを1枚ずつ裏返していく。全部裏返したら隣の人に渡す。
  • 作業チームの2人目は、受け取ったカードを1枚ずつ裏返していく。全部裏返したら隣の人に渡す。
  • これを最後の人まで行ない、最後の人はPOに渡して終了。
  • POは作業開始から作業終了(自分の手元にカードが届くまで)を計測する。
  • ゲームは3回行う。1回目はカード10枚ずつ、2回目はカード5枚ずつ、3回目はカード1枚ずつ渡していく。
学習のねらい
  • 3回(10枚ずつ/5枚ずつ/1枚ずつ)の計測結果の違いについて話し合う。
  • フロー効率について考えてもらう。

 

コンテキストスイッチゲーム

進め方
  • A4用紙に、縦に2本の線をひき、3つの列を作る。
  • それぞれの列にアラビア数字(1~10)、漢数字(一~十)、英字(A~J)を書いてもらう。(左:1~10、中:一~十、右:A~J)
  • 1回目は「1, 一, A、2, ニ, B、… 10, 十, J」の順番で書く。
  • 2回目は「1,2, … 10、一, ニ, … 十、A, B, … J」の順番で書く。
  • 1回目、2回目、それぞれの作業時間を計測する。
学習のねらい
  • 複数案件の同時進行は大変だということを理解してもらう。

 

ふりかえり

最後に、Fun/Done/Learnで4月からの研修をふりかえってもらった。

進め方
  • やったことを付箋紙に書き出す。
  • Fun/Done/Learnに分類してもらう。
  • 意見交換、ドットシールで投票
学習のねらい
  • ふりかえりの進め方、効果を体験してもらう。

 

こういったワークショップを1回やっただけでは何も変わらないと思うけど、現場に配属されて昔ながらのウォーターフォールの世界観に染められる前に、ちょっとだけでもアジャイルの種を蒔いておきたかった。 

新入社員だけでなく、先輩社員にもこういうワークショップを体験してもらいたい。

アジャイルコーチとスクラムマスターの宴に参加してきた話

アジャイルコーチとスクラムマスターの宴 〜よなよなコーチングスキルあげちゃうぞスペシャル〜 in 箱根

通称:よなよなコーチングリトリート(#yycr2019)に参加してきました。

概要

申し込みサイトには、

主催:株式会社アトラク

開催日時:2019年6月17日(月)〜6月19日(水)

開催場所:COLONY箱根

費用:108,000円(消費税込み)

概要:本イベントはアジャイルコーチおよびスクラムマスターのための2泊3日の合宿型イベントです。オープンスペーステクノロジーなどを活用してアジャイル開発に関する研鑽を行ないます。

 という説明のみ。いったい何をするイベントなんだろう。

と、いろいろな疑問が・・・これは行ってみるしかない!

 

行ってみた結果

山奥に監禁されて厳しくしごかれるアジャイルコーチの虎の穴
日常生活から離れて心身をリセットし、新たな体験や気づきを得る場

でした!

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タイムテーブル

6/17(Mon)
 12:00 Checkin
 12:30-13:30 Lunch
 13:30-14:00 Announcement
 14:00-15:30 Marketplace
 15:30-18:00 Session
 18:30-20:30 Dinner

6/18(Tue)
 8:00- 9:00 Breakfast
 10:00-12:30 Session
 12:30-13:30 Lunch
 13:30-17:00 Session
 17:00-18:00 Retrospective
 18:30-20:30 Dinner

6/20(Wed)
 8:00- 9:00 Breakfast
 9:00-11:30 Session
 11:30-12:30 Retrospective
 12:30-13:00 Checkout

 

決められているのはこれだけ。
あとは参加者自身でやりたいことをやり、内容を自由に作り上げていく。
好きな時に好きなことをしていい。外に出てもいい。
部屋で寝ててもいい。温泉に入ってきてもいい。

 

自己組織化されている人たちだからこそ、自由を満喫できる。

 

さすが、スクラムマスター。さすが、アジャイルコーチ。

学生の修学旅行や部活動の合宿ではない、大人の合宿はこうあるべきですね。

 

オープンスペーステクノロジー

初日のMarketplace(マーケットプレイス)で作成したセッション一覧

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合宿場所の中にいくつか集まれる場所があり、4つの時間帯(1日目午後、2日目午前・午後、3日目午前)ごとに、好きな場所で、参加者が自分自身の話したいテーマでセッションを開催する。
また、参加者は興味のあるセッションに自由に参加できる。途中参加、途中退場もOK。
あとからセッションを追加してもいいし、人が集まらなければ中止してもいい。

 

なんという自由な世界。

 

ある参加者(私)の過ごし方

1日目 

 15:30 – 16:00 [ボードゲーム] 黄金体験
 16:00 – 17:00 [セッション] スクラムマスターの通知表
 17:00 – 18:00 温泉
 18:30 – 20:30 夕食、飲み会
 21:00 – 22:00 [ボードゲーム] プロジェクトテーマパーク
 22:00     就寝

2日目

 5:00    起床
 5:00 – 6:00 温泉
 6:00 – 7:30 芦ノ湖を散歩
 8:00 – 9:00 朝食
 10:00 – 11:00 [セッション] ヨガを通してアジャイルを考える
 11:00 – 12:00 適当にぶらぶら
 12:30 – 13:30 昼食
 13:30 – 14:30 電動一輪車体験
 14:30 – 17:30 [セッション] スクラムショーワークショップ
 15:00 – 16:00 温泉
 17:30 – 18:30 ふりかえり
 18:30 – 24:00 夕食、飲み会
 22:00 – 22:30 温泉
 24:00    就寝

3日目

 6:00 起床
 6:00 – 6:30 温泉
 7:00 – 8:00 [セッション] 朝ヨガ
 8:00 – 9:00 朝食
 9:30 – 11:00 [ボードゲーム] 黄金体験
 11:00 – 12:00 けん玉の練習
 12:00 – 13:00 ふりかえり、全体まとめ

 

ほとんど、温泉に入るかヨガをしていました。

その合間にボードゲームをしたり、電動一輪車やけん玉をやったり。

あとは適当にうろうろして、面白そうなセッションに参加してみたり。

 

ヨガを通してアジャイルを考える

 自分でも「ヨガを通してアジャイルを考える」というテーマでセッションを開催しました。

個人的にここ2年くらいヨガを習っているのですが、ヨガの考え方とアジャイルの思想は親和性が高いように感じていて、参加者に興味を持ってもらえるのではないかと。

 特に、

  • ありのままの自分を受け入れる
    =チームの現状を正確に把握する。
  • 他人と比べない
    =ベロシティはチーム自身のもの。
  • ポーズにとらわれない
    フレームワークやプラクティスは目的ではなくツール。

といった点など。

 

やってみた結果、みんなの反応はとても良かったです。10人以上の参加者が集まり、参加しなかった人からもう一度やって欲しい、という声もありました。

そこで、1回だけのつもりでしたが、翌朝に2回目をやることに。

 

1回目はPresentation Spaceで実施しましたが、自己ふりかえりでいくつかの問題点がありました。

  • 段差があってやりづらい。
  • 変なBGMは要らない。
  • 口頭のみでの説明で、伝わっているか不安。

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これを受けて、2回目は以下のように改善しました。

  • 中庭で実施。ウッドデッキに敷くバスタオルを持参してもらう。
  • 風の音、鳥のさえずりに耳をすませる。
  • ホワイトボードに要点を記述。 

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まずはやってみる。フィードバックを受けて改善する。この繰り返しがアジャイル

すごい、すごいよ。普段の仕事ではなかなかできてないけど、ここに来てめっちゃアジャイルを実践できてる(気がする)

 

参加者の成果物いろいろ

なお、私以外の参加者もそれぞれ自由に行動していて、のんびり過ごしているように見えてじつはすごい成果物をたくさん作ってたりしています。

 

qiita.com

 

など。「yycr2019」で検索するといろいろ出てくると思います。

 

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リトリート(Retreat)とは何か

最近よく耳にする「リトリート(Retreat)」という言葉、「隠遁」とか「隠れ家」といった意味らしいのですが、あまりピンときてませんでした。

しかし、今回のイベントで参加者(40名くらい?)がそれぞれ自由に過ごしている様子をみて、なんとなく分かった気がします。

お互いに干渉しあうわけでもなく、心地よい空気に満たされた空間。たまたま隣り合わせた人との何気ない会話から突然ひらめくこともあり。

日常生活から離れて心身をリセットし、新たな体験や気づきを得る場であり、リトリートとは「積極的な現実逃避」である、という理解が一番しっくりきました。

 

まとめ

話が長くなったので、強引にまとめます。

アジャイルコーチとは何者か?

何を聞いても「ケースバイケース」としか言わず、正解を教えてくれない。しかし、そもそも正解は自分自身(チーム)の中にあるもの。

参加者として大勢のアジャイルコーチと会話する中で、心の鏡になってくれる存在なのかな、と感じた。

オープンスペーステクノロジーとは?

参加者が主体的に議論に関わり、話の展開がどうなるか読めない面白さがある。
様々な知識・経験・バックグラウンドを持つ参加者同士の化学反応が生じると非常に深い学びを得ることができる。

本来、「学ぶ」とはこういうことだったのではないか。学ぶ楽しさを改めて知ることができた。

ヨガは良いぞ

アジャイルもヨガも大事にしている世界観が非常に似ていると感じた。やればわかる。
リトリートといえばヨガをやる、というくらいにヨガを普及させたい。

 

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最後に

リトリート最高!アトラクタの皆様ありがとうございました。また参加したいです。 

 

ハッカーズチャンプルーでのLT

この合宿について、ハッカーズチャンプルー2019で報告のLTをしてきました。

その時の様子は以下のまとめをご参照ください。

togetter.com

 

また、LT資料は以下です(このブログの内容とほぼ同じ)

www.slideshare.net

 

 

 

【AWS Summit Tokyo 2019 セッション報告】電力会社におけるAWS活用事例

Summit 3日目、「電力会社におけるAWS活用事例」というお題のセッションで、AWSを使った事例をいくつか紹介してきました。 

 

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AWSの導入についてはまだまだ検証段階・やっと使い始めた程度ということもあり、会社側の意向で撮影NG・資料非公開のセッションでしたが、私の口から話せる程度の内容はここに書き残しておこうと思います。(もしかしたら消されるかもしれませんが) 

 

事例:検証環境の構築

EC2、RDS、EFSを使って、オンプレミスのシステムと同等のものをAWSに構築。開発・検証環境として使用している。

事例:Jupyter Notebookで地図作成

EC2にAnaconda3、geopandasなどを入れてJupyter Notebookを起動し、国土交通省「国土数値情報」のメッシュデータを読み込んで色塗り地図を作成。 

AWSを使う理由

  • はやい(速度)必要なときにすぐ使える、調達の速さ。
  • やすい(価格)使った分だけの料金で、無駄がない。
  • うまい(品質)機能やサービスが充実、やりたいことができる。

事例:サーバーレスの勉強

  • Webサイトから需給予想実績CSV(でんき予報の公開データ)をLambdaで取得し、DynamoDBに保存。
  • DynamoDBから需給予想実績データをLambdaで読み込み、S3に保存。
  • S3に保存された需給予想実績をQuickSightで読み込み、グラフ表示。

QuickSightの良いところ

  • 高額なBIツールやハードウェア(サーバー、ストレージ)がなくても簡単にデータ分析ができる。
  • 必要なときに、必要なデータを、必要な人が無駄なく使うことができる。
  • 構築の手間がかからない。

 

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感想

Summit本会場から遠く離れた国際会議場の3階という場所のため、聴講者がどのくらい集まるか不安でした。もしかして電力関係者だけかも?と思っていましたが、いざ始まったら160席がほぼ満席。電力関係者以外にも興味を持ってもらえて嬉しかったです。

 

また、発表の内容について補足ですが、

  • Jupyter Notebookは、以前からPydata.Okinawaの勉強会で触っていた。
  • でんき予報の需給予想実績は、仮想サーバを立ててPythonSQLitePHPなどを駆使して似たような仕組みを作っていた。

と、AWSでやる前から個人的に遊んでいた経験が活かされています。

 

自分が楽しい・面白いと思うものは積極的に遊んでおくのはとても大事ですね。今は何の役に立つか分からなくても、いつか必ずその経験がものをいう機会が来るはず。 

今回のSummitではDeepRacerが盛り上がっていて、SageMakerなど機械学習をテーマにしたセッションが多かったです。この波はあと数年のうちに電力会社にも来るでしょうね。

AWS DeepRacerリーグ初参戦の報告

AWS Summit Tokyo 2019で開催されている、AWS DeepRacerリーグ Summit Circuitに参加してきました。

 

せっかくなので自分の作ったモデルで挑戦したいと思い、1週間前くらいからモデル作りに挑戦。

 

 

まずは完走することを目標に、なんとか走れそうなモデルを作ってみました。

 

そしてやってきましたAWS Summit1日目。

 

恥ずかしながら、ものすごい勘違いをしていました。

DeepRacerリーグとDeepRacerワークショップは全然別物でした。

DeepRacerリーグは本会場のど真ん中にあるけど、DeepRacerワークショップはちょっと離れた国際会議場のM会場。ここにはサーキットや実車があるわけではなく、DeepRacerのモデル作成のハンズオンでした。

とはいえ、今までちゃんと理解していなかった、DeepRacerの裏で動いているSageMaker、RoboMaker、Kinesis Video StreamsなどのAWSの各サービスや、強化学習の仕組みを学べて良かったです。1秒間に15回、状態(画像)を取得して行動し報酬を得る、というのを繰り返してモデルを成長させていく、など。

このワークショップで得た内容を元に、モデルをもう一度作り直しました。

 

そして、2日目。朝イチでDeepRacerリーグに参加申し込み。ですが、10:00開場と同時に人の列が…コースは2つありますが、両方とも一瞬で20人以上が並んでいました。この時点で2時間待ちを覚悟。 

 

並びながら他の人が操作している様子を見ていると、結構コースアウトしている人も多く、安心しました(笑)。良い走りをすると歓声があがり、拍手が沸き起こる。お祭りのような楽しい雰囲気です。

 

そして、11:50頃にようやく自分の番が回ってきました。

まずは準備。USBメモリに入れてきた自作のモデルを実機に挿入。操作用のタブレットから実機にアクセスし、モデルを選択します。

スタッフさんからタブレットによる実機の操作方法を習います。といっても、操作できるのはスロットルの出力を何%にするかだけ。ハンドル操作やアクセル・ブレーキは訓練したモデル任せです。

次に、エントリー情報の入力。メールアドレス、名前、電話番号などを入力。

ここまできたら、いよいよ実際のレースです。

 

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コースアウトしたら元に戻すため、スタッフが後ろを付いていきます。DeepRacerは前方にカメラが付いているので、映り込まないようになるべく後ろに立つようにしています。レーサーができることは立ち位置に気をつけることと、スロットルの出力を調整することだけ。

 

持ち時間は4分間。何周走っても良くて、その中でもっとも良いラップタイムが成績となります。最初は安全運転で、出力40%くらいで様子を見ました。意外とコースアウトせず、ちゃんと走ってくれます。

レース後半はちょっとスピードをあげてみようと思って出力を60%くらいにしたら、あっさりコースアウト。欲をかいたらいけませんね。50%くらいでなんとか走りきりました。

結果はこんな感じ。14周して、きちんと回れたのが12回。ベストタイムは13秒10でした。思ったより好タイムが出てビックリ。

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最後に記念撮影をして、DeepRacer初参戦は終了。

 

ちなみに、1週間ほど遊んだ結果がこれです。$153・・・大人の遊びとはいえ、いいお値段。NAT Gatewayがけっこうかかるみたいです。

 

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ファン・ダン・ラーン(Fun/Done/Learn)で1年間をふりかえった

ファン・ダン・ラーン(Fun/Done/Learn)を世界で初めて体験した(実験台となった)チームBのtakusamarです。

年度末に1年間のふりかえりをする機会があったので、ファン・ダン・ラーン(FDL)を使ってみました。 

yattom.hatenablog.com

 

FDLは既に様々なところで実践されていて今さら説明不要とは思いますが、自分の現場(某システムの運用保守チーム)では以下のように実施してみました。

実施手順

  1. 準備
    用意するもの:ホワイトボード、付箋紙、ペン、シール
    ホワイトボードにFun/Done/Learnの図を描く。
  2. アウトプット
    この1年間の出来事、やったことを付箋に書き出す。(3つ以上、何枚でもOK)
    自分がやったこと、他のメンバがやったこと、どんなことでも良い。
    どんな小さなことでも、心に残ったことがあれば。

  3. マッピング
    書いた付箋の内容を1つずつ発表し、Fun/Done/Learnボードに貼る。
    その内容がFun・Done・Learnのどの領域に属するか、みんなで軽く話しながら。
  4. フリートーク
    全部の付箋が貼られたら、全体を通して話し合う。
    話し合っている中で付箋を移動しても良い。

  5. 次のアクション決め
    今後取り組みたいものや改善したいものにシールを貼る。(1人3票)
    票が集まったものについて、改善案を話し合いアクションを決める。

結果

所要時間は40分くらい。こんな感じになりました。

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Fun、Done、Learnの定義についてはメンバで話し合い

  • Fun:やってて楽しいと感じたもの
  • Done:何かの成果が出たもの(新機能リリース、業務効率化、作業手順の確立、など)
  • Learn:メンバのスキルアップに繋がったもの

という感じで分類してみました。

書き出したアイテムについて投票を行ない、以下のような結果になりました。

 1位(6票)ペアプロの実施
 2位(3票)業務効率化に向けた工夫
 3位(3票)カンバン・ふりかえりの実施

次年度の取組事項や優先順位についてメンバ全員の認識を合わせることができ、非常に有意義なふりかえりができたと思います。

所感

いつもの癖で問題点や反省点を書き出してしまう人がいたので、「ProblemよりもKeepに注目しよう」という話をしました。

自分たちがやったこと(事実・実績)を書き出すことで記憶を共有でき、ポジティブな気持ちになれるのがFDLの良いところですね。

FDLのふりかえり結果を元にして今年度の結果報告と来年度の目標設定ができるので、会社向けのめんどくさい資料作成もぐっと楽になります。(チームリーダー的にはこれが一番嬉しい)

余談

FDL実施後に気づいたのですが、ホワイトボードがかなり汚れてました。(以前に書かれた文字がちゃんと消えてなくて、写真をそのままアップするのが憚られるレベル)

乾ききって何ヶ月も経過してて、普通の白板消しではなかなかキレイに消せない。困ったな〜と思いましたが、たまたま手元にあった赤ちゃんのおしりふきで拭いてみたところ、とてもキレイに消せました。

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右が拭く前、左が拭いた後です。モザイク処理をかけていますが、だいぶ違うのが分かるとお思います。

ちなみに私が愛用しているのはGOONの肌にやさしいおしりふきです。

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純水99%でホワイトボードの表面を傷めません。ふんわり厚手タイプでしっかり拭けます。1枚あたり1〜2円程度とコスパも良いので、ホワイトボードの消えない汚れにお悩みの方、ぜひお試しください。

那覇でLTしNight!!に参加&カンバンの経過報告

前回のブログ記事(スクラムをやめてカンバンに切り替えた話)の内容を「那覇でLTしNight!!」で話してきました。

その時のスライドを貼っておきます。

 

www.slideshare.net

 

カンバンを始めてからそろそろ2ヶ月。チームもだいぶ慣れてきました。

付箋紙に担当者を示すシールを貼るなど、メンバからの改善案を取り入れて少しずつ進化しています。

 

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メトリクスの計測はまだ上手くできていないけど、とりあえず1週間毎に完了したタスク数を数えています。本当はタスク毎の相対見積もりもやりたいけど、一気に詰め込むとメンバの理解度を超えてしまいそうなので、小出しにしていこうと思います。

スクラムをやめてカンバンに切り替えた話

運用保守チームで2018年5月からスクラムをやっていたが、12月でスクラムを終わりにしてカンバンに切り替えた話。

スクラム実施状況

以前の記事

運用保守チームでスクラムをやってみた話 - takusamarのブログ

このような感じでやっていたが、どうも上手く回せなかった。

問題点

  • 運用保守という業務の特性上、どうしても緊急の割り込みが発生する。だいたい当日中か翌日までに対応しなければならない。

    • スプリントの途中で割り込みが入るのが当たり前になってしまい、スプリント計画を作る意味がない。

    • 急ぎの作業はPOを通していたら間に合わず、顧客から開発チームに直接依頼がくる。

  • 10年以上前の設計思想で作られた既存システムから新システムへの過渡期のため、使用している技術要素が多すぎる。

    • POが全ての作業内容を把握しきれず、開発チームへ丸投げになってしまう。

    • 特定の担当者や特定の端末でしか実施できない作業があり、チーム全員で一気に作業することは難しい。

  • 開発案件は他部署・他ベンダーと連携するため、各関係者と調整しながら進める形になる。

    • 調整待ちのまま何週間も待たされることが多い。

    • 1週間スプリント毎にリリース可能な成果物を作るのが難しい。

    • 担当者2〜3名で(他の案件と掛け持ちしながら)数ヶ月かけて仕上げる、という開発形態になってしまう。

  • プロジェクト管理ツール(JIRA)を使いこなせない。

    • JIRAを見ながらミーティングしているとメンバが自分のPCばかりを見てしまう。同じ部屋にいるのに会話が少ない。

    • タスクが可視化できるので管理している気になるが、見た目だけきれいになっている感。

    • 顧客がJIRAを見れないので報告用にRedmineも使っていて、二重管理が面倒くさい。

考察

スクラムが悪いわけではなく、現場の業務内容と合っていなかったのだと思う。 「スクラムをやってみたい」というノリで始めて失敗する典型例。

いったん「スクラム」を離れて、自分たちが何をしたいのか、どういう仕事の仕方をするのが一番良いのか、を改めて検討。 その結果、

  • 各タスクがどういう状況かチーム・顧客と情報共有したい。

  • プロジェクト管理に工数をかけたくない。

  • チームメンバ同士の会話を増やしたい。

という点を満たしたい。それならカンバンが良さそうだよね、という結論に至った。

僕たちのカンバン

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  • 作業場所(顧客とチームメンバが入室可能)の壁に模造紙*1を貼る。

  • 模造紙にステータス毎の欄を作る。

    • (空白):顧客の要望や将来案など、ネタは出ているがまだ作業可能になってない。(Not Ready)

    • 未着手:顧客から作業依頼が来たもの。これからやるべき作業。

    • 着手中:担当者が作業中のもの。

    • 確認中:顧客や他部署・他ベンダの確認中・問合せ中。

    • 受入待ち:作業完了。顧客への月次報告待ち。

    • 完了:作業完了。顧客への月次報告が済んだもの。

  • タスクを付箋紙に書く。

    • タスクは誰でも追加できる。POだけでなく開発チームや顧客も書いて良い。

    • 業務毎に付箋紙の色を変える。

    • タスクの概要、納期(明確な場合)を書く。

    • 作業状況に合わせて付箋紙を動かしていく。

ルールはこれだけ。なるべくシンプルに、アナログ重視でやってみた。

カンバンの効果

カンバンをやり始めて半月だが、仕事が進めやすくなったように感じている。

  • カンバンを前にしたデイリーミーティングで、今まで少なかったメンバ同士の会話が増えてきた。

  • 壁に貼ってあるので、顧客にも状況が見えやすくなった。

  • タスクのステータス更新し忘れが減った(ような気がする)

ただ、カンバンではリアルタイムな状況を見ることはできるが、記録が残らない。 そのため、カンバンのタスクをRedmineのチケットとしても記入することにしている。 ここだけは二重管理をなってしまうが、致し方ない。 カンバンのステータス分類をRedmineと合わせたので、まだ転記しやすくなっているはず。

今後の課題

  • 属人化の対策

    担当者同士で少しずつ仕事を教え合ってもらいたい。会話が増えてくればそういう動きにも繋がると思う。

  • 相対見積もり

    スクラムで相対見積もりをやっていたので、カンバンでも相対見積もりは続けたい。 どのように書くか、どのように集計・計測するかは悩み中。

  • 請負契約の取り扱い

    準委任契約の作業は顧客と情報共有した方が仕事が上手くいくが、請負契約の場合はどこまで見せるかが難しい。