この記事は、"スクラムマスター Advent Calendar 2023"の13日目の記事です。
水7読書会
3〜4週ごとの水曜朝7時にオンラインで集まる読書会に参加しています。2021年から活動を始めて、もうすぐ3年になります。
最初に読んでいたのは、ワインバーグの「What Did You Say? The Art of Giving and Receiving Feedback」でした。
こちらの読書会の様子はスクラムフェス仙台2022で発表しました。(参考までにスライドを貼っておきます)
「フィードバック」を読み終えた後も読書会は活動を続けていて、現在は同じくワインバーグの「Agile Impressions」を読んでいます。
2022年の10月から読み始めて1年強が経過し、そろそろ終盤に差し掛かってきました。ちょうど先週読んだ箇所がとても印象的だったので紹介したいと思います。
ウォーターフォールはアジャイルの対極なのか?
Is Waterfall the Opposite of Agile?
One of the most common ways would-be Agilists behave unreasonably is by pummeling the Waterfall approach.
ウォーターフォールと比較しながらアジャイルを説明しているのを見聞きするとモヤモヤします。と言いつつ、自分自身もそういう話をしている時があって「なんか違うんじゃない?」といつも感じていました。
その疑問を解くヒントがこの章に書かれているように思ったので、以下に私の解釈を書き留めておきます。
私の解釈
ウォーターフォールでもアジャイルでも、多くのマネージャーはプロジェクトで発生する変化をコントロールしようとする。ルールを作ることで変化をコントロールしようとするが、しかし変化は止められない。ルールにルールを重ねた結果、「ウォーターフォール」と呼ばれるが実際には全く異なる正体不明のアプローチが生まれる。
これが、アジャイルの真の敵である。(つまり敵はウォーターフォールではなく、この正体不明のアプローチである)
この状況にあるチームの雰囲気をワインバーグは以下のような形容詞で表している。
Because the mood of my clients is mournful, gloomy, sad, unhappy, doleful, glum, melancholy, woeful, miserable, woebegone, forlorn, somber, solemn, serious, sorrowful, morose, dour, cheerless, joyless, dismal; funereal, sepulchral.
なんとも悲哀に満ちた単語ばかりである。
これをワインバーグは一言で「Lugubrious approach(陰惨なアプローチ)」と呼び、名詞化して「Lugubriousity」と名付けた。(Lugubriousityはおそらくワインバーグの造語で、英語の辞書には見当たらない)
我々はこの陰惨さと戦うためにアジャイルを選ぶのだ。
過去の経験をふりかえり
5年前、私がはじめてチームにスクラムを導入しようとしたときは「スクラムとはこういうものだ」とルールやプロセスをチームに強制していました。
結局それは上手くいかず、チームメンバーと話し合い、さまざまな試行錯誤の結果、自分たちが一番やりやすい方法としてのカンバンに着地しました。
このときの最初の失敗とその後の立て直しは、まさにワインバーグが本の中で書いている通りです。ルールやプロセスで支配しようとすると"Lugubriousity"になってしまう。そうならないためにはアジャイルの本質を理解し実践すること。
「陰惨さ」と戦うためのアジャイル
スクラムマスターはルールやプロセスで支配してはならない。
ルールやプロセスを守る・守らせるのが目的ではなく、チームが"Lugubrious"にならないようにあらゆる手を尽すのがスクラムマスターなのだ。